観劇記録

戦う者の歌を聴かせて

Les Misérables 2025/5/9S

シュガバル

 

「俺もやつに感謝をした」のあとで司教が行った下手側を覗き込んでいて、私はこの動き初めて見たかも。

増原司教の「何よりのものを差し上げたのに」に対して、理解できない顔をしていて、「さて我が兄弟」のときにはふてくされたように燭台を床に投げ出していた。燭台の入った鞄を渡されたとき、上半身が逃げていて…怯えの強い人なんだよなと思った。

社会が彼からすべてを奪った、だから取り戻そうとして盗みを働く。最初に奪われたから奪い返そうとするのだけど、最初に奪われたからこそ周囲への怯えが強い。

独白。

席位置で見やすかったのもあるけど、「生まれ変わるのが」のときにさっと顔に光が当たって、バルジャンの心に光が差したのが視覚的によくわかって良かった。

裁き。

「恥ずかしくはないのか」のあとで微笑んで「この魂すでに神に渡して」は笑顔だった。今期は本当にシュガバルの裁き好き。

ファンテが事切れるときにシュガバルの呼吸が荒くなっていて…物凄くショックを受けてるのだと思った。生田ファンテが儚いぶんバルジャンの罪が重くなるのかもしれないし、生田ちゃんとの父娘歴があるからなのかもしれないし…

告白。「ジャン・バルジャンという男が」以前、「もう言うな マリウス/話があるのだ」のあたりからもうつかえるようになっている。

BHH素晴らしかった!BHHとエピローグのとき私が今この劇場の客席に座っているのは、3年半前の2021年松本前楽のときのシュガバルとシュガーさんの挨拶があったからだな…としみじみした。ここに来られて本当に良かった。

 

小野田ジャベ

 

1幕。

この日の1幕全体を通して、他者の介在する余地のない、水も漏らさぬ堅牢な世界観を持っている人、という印象を受けていた。
「忘れるなよ、俺の名を、24653」のときイエローチケットを長く握りしめていた?

波止場。

「牢に入れられたらあの子は死ぬ」のところで倒れたまま手を伸ばす生田ファンテにずいっと近付いての「止めろ泣き言は」、そのままファンテに警棒を突きつけて、ファンテが警棒を掴むと「それが神の御心なのだ」で警棒を振り払って…その仕草が物凄く残酷に見えて、小野田ジャベこうなったか〜ってなってた。生田ファンテが儚い印象だから尚更ひどく見えるのかも。

カートクラッシュのあと。

バルジャンの「その男は人違いだと言い続けるのか」で頷いていてちょっと可愛い。

2幕。

ガブに「嘘つき!」と言われたあと、状況を見ながら何か考えていた。銃取れるかなチャレンジは失敗。(アンジョがその時点で警戒して離れていたため)

砦から逃されるところ。

松本、花道が長いんですけど「貴様は盗人」あたりだったか、小野田ジャベがシュガバルに近づいたとき、シュガバルが銃を構えたまま後退してた。
「俺を逃がせばまた対決だ」でバルジャンに詰め寄ったとき、何かを叫んでいて…「ジャン!」って呼んでいた?(翌日マチネは呼んでなかったから聞き間違いだったかも)
以前、川口ジャベが同じタイミングで「ジャン」って呼んでたと思うんだけど、ファーストネームで呼んでしまう≒バルジャンを人格ある一個人と見なしてしまう、のだと思っていて、このシーンでもうジャベールの崩壊が始まってるんだと思う。

自殺。

マリウスを抱えたバルジャンを逃がしてしまった、その右手の指を信じられないものを見るかのように見ていた。
ガブローシュという幼い命を死なせた自分、マリウスという年若い青年を生かすバルジャン。若い命を生かすことは善だ、だがバルジャンのやっていることを善であると見なしてしまえば、それまでの自分の世界観がすべて崩壊する。
だからこれ以上の崩壊を避けるために、自分が自分であるために自殺した、という感じがした。

この日の小野田ジャベは市長を告発した自分は誤っているからという理由で辞表を出す人だと思うし、同じように神に辞表を提出したんだな…と思った。

 

ルミーナエポ

 

「笑っちゃうわね、本当」のところ、諦めと虚しさ混じりの自嘲があって、これはルミーナエポで初めて見た表情かもと思った。

怒りが強く印象に残るエポだけど、この日は諦めも強く感じて、そういえばルミーナちゃんは韓国レミからの継続だから実質2期目か…と思った。エポって2期目くらいから諦めが出てくる印象ある。

恵みの雨の「巡り会えたこの雨」あたりで幻覚を見て手を伸ばしていて、1幕のファンテの死ぬところと同じ動作だと思った。ファンテが見ているのはその場にいないコゼットだけど、ルミーナエポが見ているのはその場にいるマリウスと恋人同士であるという幻覚…

 

唯ンジョ

 

1幕。

ABCカフェ。

周りを引き付ける、視線を集める、彼を取り巻く周囲を吸い寄せる、そういうイメージがあった。
近藤グランテールの敬礼のときに、眉をひそめてグランテールを見ていて、ちょっと面白かった。民衆冒頭、福音を聞いて目を輝かせていた。

民衆のときのアンジョルラスの後ろ姿をよく見てて、アンジョルラスが「いる」と思うときって大体その後ろ姿を見てて泣きそうになるんだけど、この日は唯ンジョの後ろ姿を見てて込み上げるような喜びがあってとても好きだった。アンジョルラスが「いた」。

2幕。

恵みの雨のあとで唯ンジョと近藤グランテールの目が合って、唯ンジョの表情が少し硬くなって…エポの遺体を見送ったあと、唯ンジョが銃を顔の前に持ってきて、少し祈るような顔だったのか、揺れた自分への自戒か気合を入れ直していたのか、そういう顔をしていたのが印象的だった。

この日はグランテールが異分子というのか、アンジョルラスの見まいとしているところを敢えて取り出してみせる人、というのが強く出ていたように見える。
DwMのときも「偽りじゃないか」のあと、唯ンジョは固い表情でいけ、とか何か言ってた?近藤グランテールがなおも何か言いたいような素振りを見せたのをあしらっていた。
ただ、アンジョルラスが揺れていない、というのとは違っていて、グランテールが上手に向かってから動揺したような顔をしていた。触れられたくないところを触れられた、だから咄嗟に拒絶した、そういう反応に見えた。

そこからのBHHだから、この間に色々考えたんだと思う。「僕らは見捨てられたのだ」のときは暗い声だったけど「命を大事に」のときは決然とした声で、これがアンジョルラスなりのDwMへのアンサーだと思った。

ガブ死。

落ちてきたガブの遺体を受け止めて愕然として、近藤グランテールにガブの遺体を渡した後。

嗚咽するグランテールを見ながら、背中にアーミーオフィサーの最後の警告を浴びて唯ンジョは立ち上がる。砦の外に向き直って、おそらく沢山の兵士たちを見たのだと思う。
「死のう」は、負けを認めない、だとかそういう感情に見えた。上手側にシュガバルがいて、ここで手を伸ばして学生たちを止めようとしているのが目に止まった。

マリウスが撃たれて落ちてきてから。

この日、唯ンジョは「マリウス、少し休め」も優しくて、その言葉を受けたマリウスが砦を降りていくのを心配そうに見守ってたから、マリウスのこと凄く大事にしてる気がしてて、だからマリウスが死んだと思うのはつらかったと思う。
マリウスに呼びかけるアンジョに、グランテールが手を伸ばして、アンジョはグランテールの手を取って自ら立ち上がってからハグしたけど、ごめん、も、ありがとう、もあったような気がする。
砦を駆け上がり、旗を振って砲撃を受け、唯ンジョは旗を取り落とす。取り落とした姿勢で、砦の真下にいるグランテールに手を伸ばしてた。グランテールも酒瓶を掲げて応えてたと思う。

 

観終わってみて、しみじみと一期目後半だ〜!と思った。1幕ちょっと光り始めてるなって思ったから、今期最後か来期はたぶん光る。翼は白。

相葉アンジョの砦で戦ったオタク、今からはチケ難しいにしても来期観てほしい。

 

色々

 

・「主よ、主よ、殺してくれ」前まではグランテール枠のパートで、これをグランテール役が歌うのが好きだったものの工場長になった丹宗さんが歌ってるのも好きなんだけど、この日、最後のところ伸ばしてフェイクっぽく入れてて、今こうなったんだ?って思ったらその日だけだった。丹宗さんこの日レミゼ登板700回だったしこの記念…?

・松本は花道長いので花道での印象がちょいちょい違う

・パリで2階に逃げてる松村モンパの待ってる姿勢かっこいい

・ABCカフェ柴原クルフェの「俺たちで塗り替えるんだ」、もっちーを思い出した

・ABCカフェ上手端で杉浦フイイと近藤グランテール肩組んでた、仲良し

・DwM、下手のまっちー学生が近藤グランテールに「全然面白くねえんだよ」って言ってて珍しい(まっちー学生優しい印象あるから…)