観劇記録

戦う者の歌を聴かせて

Les Misérables 2021/6/3M

画像1

佐藤バルジャン

シュガバルの中の、本人さえ諦めてしまったきれいなものを司教は見つけてくれた…が今期のシュガバルの印象だったんだけど、この日は少し違ってた。
鎌田司教に燭台渡されるときのシュガバルが赤子のよう…というか、なんだか凄く幼く見えて、「主は救いたもう」までわかってなくて、「あなたの魂」で初めて察して段々俯いて、自分のしたことを後悔してた。悪意には悪意で返し、善意には善意で返す鏡のよう。
「からかわないでよ」からのファンテの言葉聞いて、おろおろとうろたえてた。

二宮ファンテ

工場長の「この淫売が」の前に二宮ファンテ、「市長!市長!!」って、司教が消えた下手の階段見上げて叫んでた…。
二宮ファンテはたぶん優しくて誠実な市長を慕ってて、だから、その市長に「見捨てられた」絶望が深い。

りりかコゼット

プリュメ街でエポを助け起こしたあとの反応が、何か考えてる風で、エポのこと覚えてるか思い出してる気がする。
「私の悲鳴よ、でも声を聞いて」で目を泳がせながら一生懸命考えてて、「みんな逃げたわパパ」でバルジャンに抱きしめられたときに目を見開いていて、この子は生まれて初めてパパについた嘘に動揺している…と思った。パパに嘘をついてしまった、どうしよう、の顔。

屋比久エポ

屋比久エポには憤りがあって。
「こんなもんよ」と言ってたけれど、コゼットを育てたバルジャンの優しさに触れて、ずっと気付きたくなくて見ないふりしてた「自分はみじめなんだ」ということに気付いてしまった感じがする。OMO「愛してる」の3回目のときに唇震わせてて、あれは本当は泣きたかったんじゃ?

内藤マリウス

一幕の内藤マリウス、前髪ぴょこんと立ってて可愛かった…そういう子じゃん内藤マリは。笑
二幕、恵みの雨で「届けにいくと父親がでたわ」のとこでなんだよ、ていう風に立ち上がってて、段々エポの様子がおかしいと気づいていく。
告白のバルジャン「旅立つ時が来た姿を消さねば」で内藤マリウスは顔を覆ってうつむく。内藤マリウスはバルジャンを慕ってるところが凄くいい。
この日のシュガバル「会えば別れがつらい」が強くて、内藤マリウスの服を掴んでいて、そこでバルジャンの身を切られるような痛みを内藤マリウスは察してた。

テナルディエ夫妻

結婚式のわちゃわちゃ感増してる!笑
どやされつつもスタイル良くて華やかなマダムにベタぼれテナって感じ。ニチアサ悪役風の夫婦。
このご時世なのでホイホイチケット増やせないけど、できたら次もこの組み合わせで見たい。可愛い。
斎藤テナ自体は暗くて陰惨なイメージのあるテナだと思ってるんだけど、樹里マダムの華やかさに合わせて調整してるのかも?レミはテレビの世界からも出演する人多いけど、この数年で一番のヒットは斎藤テナだと思ってる。

相葉アンジョルラス

今年の相葉アンジョ、街角FC(相葉アンジョはパリの街にFCある)女子に笑いかけてくれたりはするんだけど他の学生に「やめとけって、あいつ可愛いの顔だけだぜー」って言われそう。
一幕、私が見てる中では今期いち光ってた。(自家発光)
「マリウス、わかるようにけれど(わからない)」By the wayのわかるけれどでしたね…ちょっとそれ棚上げしといて、って話し始めた。
比較的続投多い学生陣でみんな動き回るので、ラマ死のあとの「葬儀の日に」でアンジョが振り返ったら宇部バオレルで持木クルフェ探しに行ってた。
二幕。
砦の外を見るばちんじょ「やってる?(旗ペラっ)」
いやフォロワーに言われてからこうとしか見えなくなってしまい…笑(ヘイらっしゃい)身長あるから旗捲らないと見えないよね、わかってるんだ。
今年の相葉アンジョは命の重さを背負ってるよね。
エポ死でグランテールに見つめられたとき、相葉アンジョはその視線をしっかり受け止める。命が失われる覚悟はしてたけど、つらくないわけじゃない、心が動かないわけじゃなくて、だから背負ってるなあと思って見てた。
DwMが歌い継がれてるとき砦の上のほうでも笑顔になってて、持木クルフェが笑顔で砦の中見下ろして、相葉アンジョと鈴木コンブが顔見合わせて笑ってて。グランテールが歌い出したとき、相葉アンジョは砦に両手ついて肩落として「まったくあいつはもう」って苦笑する風で、クルフェたコンブもそれ見て少し笑ってて。この砦は本当仲いいなぁ、グランテールも仲間の一人だなと思ってた。
「死もおそれぬか」で動揺する砦、降りていこうとする鈴木コンブを止めて自分が降りていく相葉アンジョ。
「偽りじゃないか」でアンジョのシャツ掴んだ丹宗グランテールをアンジョは少し驚いて、でも説得しようとして、丹宗グランテールはいいんだ、わかってる、って言うふうに手をかざして上手に行って。
相葉アンジョはそれ見送ったあと砦を登って少しうなだれていて、覚悟はしている、でもつらくないわけじゃない。
丹宗グランテールは強くて、今年の相葉アンジョはグランテールの恐れも分かってて、それらを飲み込んで覚悟して命の重さを背負って決起してて、だから平行線になる。
相葉アンジョはみんなに支えられてる自覚のあるアンジョルラスだけど、決断は相葉アンジョがする、という印象の強い砦で、だから孤高だなと思ってた。
今年の相葉アンジョは人の気持ちが分かるし、命の重さを背負ってるから、一旦ガブ死で崩れるのはわかる。
アンジョルラスは「死のう」で残った仲間の命をぜんぶ擲たなければならない。
でも、あそこで号令ひとつで仲間の命を擲つには、今年の相葉アンジョは優しすぎる。だからガブ死で頭真っ白になって彼岸を見る、一旦みんなを思いやる気持ちを消し飛ばさないと「死のう」とは言えないんじゃないかな。
破れかぶれだったり、唐突な感じはしなくて、原作アンジョの言葉「命を高く売り付けてやろう」があの場所で天啓として飛び込んできた感じ。そしてそれをコンブとクルフェも支持する。
「立つのだ仲間よ、世界に自由を」は「仲間よ」から客席を見るので、「命を高く売り付けてやろう」が飛び込んできた瞬間に彼岸を見て未来を見たなと思った。
最期、丹宗グランテールに引き起こされたときの相葉アンジョの表情もありがとうに見えて、
「俺はこういうやつで、お前はそういうやつで、平行線ではあるけれど、それぞれに納得して死ぬ」
みたいな、とっても男っぽい砦だった気がする。
正直いって相葉アンジョがこういう首領に着地するのはとても意外だった。(学生続投組が持木丹宗深堀という暑苦しい布陣だったのもありそう)
結婚式、相葉給仕さんは招待客の後ろで「ほらほら見て〜(グラスがくっつけてあるお盆をクルッ)」っていうのを構ってくれる人が見つかるまでやってた。

持木クールフェラック

19年のときよりも持木クルフェが相葉アンジョに預けてる印象ある。
スパイ渡したあと持木クルフェが怒って降りていこうとして、深堀レーグルに腕掴んで引き止められてた。「夜はすぐふける」のあとでばちんじょがもちフェの腕を軽く叩いて、いなしてて、はよ仕事に戻れって言ってるみたいで笑ってしまった。
普段、相葉アンジョあれやっといて」って雑な指示出して持木クルフェそれぜんぶ察してやってあげてない?笑
BHHの最後にかけて、少しずつ相葉アンジョの重心が傾いできてて、相葉アンジョが苦しそうに「見捨てられたのだ」と言ったとき持木クルフェはうなだれるけど、察してた顔してて、「子供あるものと女達は去りなさい」で持木クルフェは何か決然とした顔して。
相葉アンジョ命の重みを背負うから、持木クルフェもきっとここまで着いてきたことを後悔しないんだって思ったな…

いろいろ

・井伊ガブ、新井レミのガブローシュっぽくない??
・「休むというなら追い出すぞ」のあとで大津ヒモ薄く笑った?こわかったんだけど
・スパイを撃ったと思われる銃声が響いたあと、鈴木コンブがこれでよかったのか…みたいに悩んでて、「感謝します(ガンガン)」でよかったんだって気を取り直してて、大丈夫だよスパイは逃がされたよ!
・「お道具見せてやりな」あたり菊池病気の娼婦がファンテ心配してた?
・鈴木コンブの髪型が前みたときより綺麗になってる気が…医者がきっちりしてるから差をつけてるのかなと思ってたけど
・マリウス「夢のように消えた」のあと、新井ジョリ横田プルべが「こっちだ」「遅かったな」って言ってたよね?
・丹宗グランテール、フェンシングで遊びながら酒瓶を取り返しにいき、遮ったアンジョルラスにエア剣を鞘にしまってた