観劇記録

戦う者の歌を聴かせて

Les Misérables 2021/7/4S

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和音ファンテ三浦マリウス敷村コゼットが今期初かな?
三浦マリウス19年より良くなってる!敷村さん前に見たのがおでかけ姫だったから「人間になった…!」となってしまった。

福井バルジャン

今年すごい印象に残って好きなの、裁きの「身代わりいれば救いの神」でシルクハットを持って身代わりを表現するところと、「俺は誰なのか」でバルジャンの代わりに裁判にかけられている工場長バイト(シャンマチウー)の顔を撫でるところ。特に二番目、19年からそれまでとガラッと変わったバルジャン像を出してきたけど、今年はすごくそれがマッチしてるなと思ってる。
取引のところ
「あとは」→脅し
「言うな1500払おう」→呆れ
「さあコゼット行こう」→優しい
「ありがとう」→脅し
「この子をすぐに忘れるだろう」→吐き捨てる
で、やっぱり福井さんうまいな〜と思ってた。
ちょっと喉が疲れてるかしらーと思ったけど、そのぶん慎重に音を置きに来てた気がする。BHHすごい大切に歌ってた感じがしてよかった。
それと、目覚めて落ちた砦を見るとき。砦の死体の山を見上げて驚いて声をあげていた。学生たちを悼むというよりも、剥き出しの「死」に怯えている感じ。
この日は今期の中では暗めの印象だったし、胃が痛そうというかプリュメ街でコゼットにガシャーンってシャッター降りるの久々に見たなと思ってたけど、殻が厚い人だったから、「頼むよ」のあと三浦マリウスにさっと手を払いのけられて、マリウスが去ったあと空の手のまま弱く苦く笑うのが痛ましかった。「お前にやろう」の前だったら、絶対にマリウスの振る舞いに傷つけられる人ではないと思う、殻が厚いから。
嘘だらけの人生でコゼットにもシャッターおろして、でもそうシャッターおろすのは後ろめたいからで、嘘の自分でコゼットの愛情を獲得しているという罪悪感があるからで。
だから「私は父じゃない」が人生最大の嘘の告白だったんだけど、そこでパパと呼ばれることで嘘だらけの中で育った愛が真実と知るんだな、と思ってた。
この回で改めて思ったけど、今年の福井バルジャンは「年齢経過」と「老い」の表現がすごい。「老い」とは、とりもなおさず死に近づいていくということでもあるから、砦で死体の山(=剥き出しの「死」)を見上げて声をあげているのにも繋がりそう。

川口ジャベール

川口ジャベールもこの日は19年の大楽のときの強固さと以前までの繊細さがミックスされていて。波止場で伸ばされたファンテの手を足で退けるの久しぶりに見た。物凄く強固で確かな、透明な結晶の中にいたのに2幕バルジャンに逃されてから崩れていく、ある種のダイナミックさがある。
「待つぞさあ」のあとで振り返って去っていった福井バルジャンを手を伸ばして追ってたんだけど、なんか、バルジャン如何にせよ今期の川口ジャベールは自殺に向かう気がしてる

敷村コゼット

恋をして、傷ついたマリウスを支えることで成長するコゼットだと思う。
プリュメ街時点では高校生!絶賛反抗期!
この回、プリュメ街で福井バルがコゼットにガシャーンって完全にシャッター降ろして閉ざすの久しぶりに見たな、と思ったけど、たぶんコゼットの父からの自立度合いに関係していて、精神的にまだ父親が必要そうなコゼットだとシャッター降ろして閉ざしがちなんじゃないかな。
プリュメ街時点で、敷村コゼには精神的にまだ父親が必要。だからコゼットには絶対に話せない。(ここらへん、福井さんお父さんなんだな~と思ってて、バルジャンがそこで過去のことを話しちゃったら娘にメンタルケアを押し付けることになってしまう)
だからこそ、エピローグで福井バルジャンが「私は父じゃない」と明かすのはコゼットの成長を認めたからでもある。
コゼットの成長とバルジャンの老いが強調されるため、福井バルジャン敷村コゼは相性のいい組み合わせなのでは?

相葉アンジョ

ABCカフェ
川島グラン「(酒瓶を置いて階段のマリウスへ)レッド♪」
川島グラン「(アンジョを振り返って)ブラック♪」
相葉アンジョ(誰がブラックやねんの顔)
って感じで面白かった。
「彼の死に燃える炎」のときか?相葉アンジョが舞台際まで来て、狂気の青い炎が見えるようで、やっぱりここで狂ってるアンジョが好きだなって思った(一番好きなアンジョがラミンアンジョだから…)
杉浦フイイの民衆プチソロのとき、それを見上げる相葉アンジョの背中が嬉しそうで誇らしそうで泣けてしまう。ここで泣くのはリオンジョ以来だなぁ。
ODM「自由のために」でマスケット銃を見つめる相葉アンジョの覚悟なり決意なり滲む顔が好きで、今年の相葉アンジョは自由のために武力が必要なことも血が流れる覚悟もあって決起するアンジョなんだよなぁって思ってる。相葉アンジョ「夜はすぐ更ける」のあとで(ジャベを渡したことに)怒ってる今井クルフェの腕叩いて「はよ持ち場に戻れ」ってやってるのは相変わらずで笑った。そういうとこある。人の命の重さは背負うし、ジョリがえづいてるときに励ましてあげたりして、弱い子にはケアするけど、できる人はわりと放置するアンジョ…たぶん釣った魚に餌やらないタイプ。
相葉アンジョって17年からずっと「来るもの拒まず去るもの追わず」の人だけど、クルフェにぽんぽん指示投げてそれでクルフェが怒っていなくなっても追わない人だと思うの。いや、いなくならないって分かってるからやってる傲慢さもあるけど。
「子供あるものと女たちは去りなさい」で砦から去ることを許容して、つまり残った人は砦とともに死ぬんだってわかってるんでしょ?みたいなとこある。
一緒に死ぬって決意したんだから四の五の言わずに着いてこい!っていう意味での「死のう」に見えて、あんな顔ちゅるーんとしてるのにすんごーーーく野郎!だなって思う笑
例えば決起前に仲間が抜けたいって言ったとして説得しないで、わかったっていうタイプな気がする…納得できる人だけついてきてくれればいい、っていう。ついてきた人に対しては彼なりに大事にはする(ただし仕事はぶん投げる)。相葉アンジョのアベセはたぶんクルフェコンブフイイの仕事量はんぱない。
ガブ死で相葉アンジョも座るんだけど「砦のものよ」ですっくと立って、砦のあっち側の兵士たちの居並ぶ風景を見て、また砦の中の仲間たちを見る。「市民は来ない」のときにもう負けるってわかってたから、負けると実感することそれ自体のダメージはないんだよね。でもただで負けてやるか、みたいな…やはり負けん気が強い。

川島グランテール

相葉アンジョ川島グランのABCカフェ始まりのとき、川島グランに対して「その特等席代われ」って思うのなんなんだ。羨ましいぞそこでアンジョ見れるの…
このときの川島グランテール、推しの顔に見惚れて話聞いてないおたくの顔してる。絶対に顔から入ったおたくだと思う。
顔から入って接触イベント(ミュザン行ったらアンジョしかいなかったとか)で話してキャラ好きになったタイプだと思う。

覚書

・ABCカフェで今井クルフェが「マリウスおまえいい加減にしろよ」って怒ってるの、三浦マリウスは明らかにお世話係が必要なタイプなのですごいわかる

砦の話

恵みの雨のあとグランテールがアンジョを責めるように見たとき、相葉アンジョは川島グランの言いたいことわかってて、川島グランは分かられてることを分かってる。
DwMで杉浦フイイが歌い出したとき砦の上のほうで相葉アンジョと古川コンブが談笑してた。川島グランのとこで降りてきた相葉アンジョはなんか、わかってるだろどうしたんだって感じで。川島グランはアンジョはここで引くことはしないってわかってるし、わかってるんだけど言わずにいられなかった感じ。
BHHのあと「市民は来ない僕らは見捨てられたのだ」で古川コンブは立って、今井クルフェは座ったまま項垂れてた。川島グランはこうなることわかってた顔してて、でも「子供あるものと女達は去りなさい」で酒瓶掲げてアンジョに応じていて、ガブを逃して自分は砦で死ぬって決めてた。このときの川島グランを相葉アンジョ見てたのかなあ。グランテールがどうしたいかわかってた気がするし、それを肯定してた気がする。だから最期「行こう」って一緒に連れてく。
グランテールがアンジョに殉死することを肯定するアンジョルラス。相葉アンジョは川島グランに引き起こされたあと、行こうってグランテール連れて砦に走っていく。原作の死に方をミュージカルでやってる?
強火アンジョのおたくとしては、今日のグランテールは明らかにファン冥利に尽きる感じなので本当に代わってほしいし、今日の相葉アンジョ、光輝く死の天使として完璧だったのでこのまま発光しててほしい。黄泉路を照らす光だよ……………