観劇記録

戦う者の歌を聴かせて

Les Misérables 2021/7/14M

画像1

革命記念日!(1789/7/14、バスティーユ陥落)

福井バルジャン

プリュメ街の反抗期敷村コゼ、そのコゼにどう接していいかわからずオロオロする福井バルジャンなんか面白かったし、反抗期だけど良い子に育ってるから
敷村コゼ「いつも満たされてた、あなたに愛されて」
福井バルジャン(こっくり頷く)
頷くのとても微笑ましかった。かわいい。毎回やってほしい。
福井バルジャン上原ジャベールだと和解は成立するけどジャベールは死ぬなーと思ってたけど、二人とも人の話を聞かないよね。
福井バルジャンは波止場の「私がした」のあたりびっくりしすぎて固まってるんだよね(そうですあなたのせいですって毎回観ながら思ってる)。原作の下水道後の「バルジャンを馬車で送り届けて姿を消すジャベール、いなくなった馬車を見て茫然とするバルジャン」を一番やりそうな組み合わせが福井上原だと思った。
福井バルジャン、ジャベールが待ってるはずの馬車が消えたときも「???」って顔して固まりそうだもん。
取引の「ありがとう、この子をすぐに忘れるだろう」のとき宿屋見回してて、あ、そこで宿屋が酷い環境なの目に入りましたか…!ってなったんだけど、悪気はないけど周りがあんまり見えてない人なんだよね。今年の福井バルジャンはジャベールに言った「頼む三日の猶予を」も綺麗に忘れてるタイプ。

鎌田司教

鎌田司教、福井バルジャンに燭台渡して去るとき、福井バルの「ああ」って声で立ち止まって微かに後ろ見るけど完全には振り返らなくて、そのまま下手に歩いていくときの足取りが重くて、この司教は自分のしたことが「人を殺しかねない」ことと理解してると思った(独白のジャンバルジャンは死んで生まれ変わるのだ、に繋がるわけだから)
バルジャンがジャベールを逃がすのは、自分が司教に為されたこと(赦し)をジャベールにしようとした結果、だと思ってるんだけど、あの鎌田司教の振る舞いは、「バルジャンに逃がされたことよって自殺する」ジャベールの風景がないとたぶん出てこない。
ほんとーーーにカマンベール見たかった…ジャベールから司教ってカマンベール観てる人からしたら滅茶苦茶エモい転生だよねえ…

リオジャベ

リオジャベのわからんぞ、頭の上に巨大ハテナマークが出るし、たぶんそれもあって福井バルジャンが「あのね、ちがうんだよ」って教え諭すモードに突入する気がしてる。
「また対決だ」でリオジャベ福井バルを下手の柱のほうまで追いつめて、「さあ!(殺せ)」と挑発してたけど、「違う、それはちがう」と返されてリオジャベの目が揺れていた。たぶんド鋭角じゃないと見えない顔。
福井バルジャンが強く言っていたらそこまで揺れなかったかもしれない。でもここの福井バルジャンはリオジャベを憐れんでる。だから本気でわからない。
前にリオジャベには「人間見本」とでもいうべきものがあって、こういう人間はこういう行動をする、というようにラベリングしてると書いたけど、その「人間見本」に収まらないバルジャンの存在で「人間見本」が壊れたかといえばそうじゃなくて、壊れないから自殺する。
「俺はこういう人間だ」というところに固執するから自殺に向かう。死ぬことによってしか「人間見本」に彩られた碁盤の目のような世界を保てない。19年は法律と倫理の間の陥穽に嵌りこんで自殺したけど、21年は自己愛で自殺に向かうんだと思った。
こういう服装の人間は悪いことをするに違いない、というラベリングによる思考の省略化。
この人にも事情があるのかもしれない、と想像することは思考のコストがかかるし、情状酌量の余地を考えれば考えるほど断罪は難しくなる。
「人間見本」を持つことでそのような思考の省略化が可能であったがゆえに、真っすぐで硬質で強固な自分の世界を作ることができた。その世界を守るために自殺している。
今年のリオジャベは哀れだと思った。「哀れな人々(レ・ミゼラブル)」の中の一人。

和音ファンテ

たっちんファンテもめぐファンテと同じく「賢いファンテ」という印象があるが、きちんと女性が教育受けられる環境だったら、めぐファンテは一橋大に行くタイプで、たっちんファンテはお茶大に行くタイプ。(どちらも東大京早慶MARCHではない。たっちんファンテの同志社はある)

ふうかエポ

「私も読めるわ」のふうかエポの(読めない…)顔はとてもかわいい

竹内マリウス

木内アンジョ「今世界の色は変わる、日ごとぬりかえされている」あたり、ずっと竹内マリウスの傍らに立って首根っこ抑えてるんだけど、抑えられてる竹内マリは「だって恋しちゃったんだもん(ぷすー)」って顔してて可愛かった。まったく話を聞いていない。
初年度だけあっていろいろ試してる?と思ってたけど、なんとなくこの回はかわいい方向で調整してたのかも?
「あふれゆくこの思い」のときジャケット握りしめてて可愛いなーと思ったし、バルジャンの告白のところ、前観たときから竹内マリウスは椅子のはしっこに座るな…ておもってたけど、今日は端っこに座った上でニコニコ福井バルジャンが座るの待ってて、バルジャンが椅子の後ろにいったら(あ、座らないのか…)ってしょんとしてて可愛かった。
「誓いますコゼットのため」のところもバルジャンを突き放す感じじゃなかった。
そういえば砦の「任せろ俺がゆく」のところでバルジャンがマリウスおさえるところ、この日の福井バルは竹内マリのベストの肩から首あたり掴んで持ち上げてて、また首根っこ抑えられてる!って面白くなったの思い出した。

敷村コゼット

福井バルジャン敷村コゼ、やっぱりすごく相性いいと思う。
敷村コゼはマリウスを支えることで成長するコゼットだけど、プリュメ街では16歳!絶賛反抗期!で、カフェソングのあと24歳くらいに大人になる。でもエピローグでバルジャンにすがりつくのは子供のように見えて。「最期の告白を書いた」で首を振るのが駄々をこねる子供のようで、とてもよかった。泣いた。

木内アンジョ

一幕ABCカフェ、ほかの学生に向かって、アンジョが自分の胸を拳でトンしてからその拳を見せてたと思う。これが砦が落ちるときの「死のう」の前の胸ドンに繋がるようでなんか良かった。
二幕、木内アンジョはガブローシュが戻ってきた瞬間に立ち上がってガブローシュを迎え入れようとしたところをガブローシュが撃たれるので、やっぱりガブローシュの血を浴びてるんじゃないかなあ。
ガブローシュの遺体をグランテールに渡したあと、アーミーオフィサーの「砦の者よよく聞け、市民は援護に来ないぞ」あたりで立ち上がって砦の外を見て、「孤立だ、味方はいない、やめろ死ぬ気か」で自分の胸をドン、ドン、ドンと叩いて魂を戻して「死のう」だった。
「相打ちだぞ」「あとに続けよ」あたりで笑った?すでに笑ってた?
赤旗掴んで「世界に自由を」のときはとっても笑ってた。
マリウス撃たれて駆け寄って、丹宗グランテールに引き起こされたときにまた笑って抱きしめて「ありがとう」
カフェソングのとき竹内マリすごいアンジョのこと見てるな…滅茶苦茶実体で見えてる…と思ってたんだけど、木内アンジョも結構長い時間舞台上に残ってて、あれはマリウスの幻覚じゃなくてアンジョ本人だなと思った。感情までは読み取れなかったけど。

丹宗グランテール

バルジャンが砦に来たとき、捕まってるジャベールと向かい合うあたりでその間にマリウスを心配してるグランテールがいて。
福井バルジャンとリオジャベに挟まれて怪訝な顔してる丹宗グランはバルとジャベの因縁察してそうだなーって思った。それもあって(スパイを殺したはずの)銃声のあと、とてもつらい顔するんだと思う。革命のためだったら肯定はできないけど哀れむことはできる、でもこのスパイ殺しは違うから。
丹宗グランテールDwM「死など無駄じゃないのか」、やけっぱちや揶揄ではなくて真摯な優しさしかなくて、掴みかかる田川モンパ学生もつらそうで。
木内アンジョはたぶん「大丈夫か」って言ってた。

覚書

・イエローチケットをバルジャンからもらった大津農夫が斎藤農夫に「これ見てくれよこんなやつがきた」ってオフマイク言って見せてた

・パリのとき持木クルフェが二階の女性と新井ラットキャッチャーとなんか話してるのわかったけど何話してるかは聞こえなかった…

・スパイは君にあげるのあと、クルフェ(レーグルがとめる)、バオレル(フイイがとめる)、バベ学生(コンブがなだめる)が怒ってる

・DwM歌い出し、鈴木コンブは砦の中に完全に体を向けて笑って見下ろしていて、持木クルフェは中を気にするけど砦の外を見てて、コンブクルフェで分業されてる…て思った みんなの様子を見るコンブと戦いの中心でもあるクルフェ

・小松ガブはDwMのとき川島グランテールのことは「やめろって」って背中叩いて止めるけど、丹宗グランテールのことはなんか言いたそうに見てるだけで止めない